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ロシア人キノコ取りが解く「100年の難問はなぜ解けたのか」

NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影

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ミレニアム懸賞問題「ポアンカレ予想」を解いたのはロシア人のキノコ取り。

ミレニアム懸賞問題とは、クレイ数学研究所が2000年に100万ドルの懸賞金をかけた次の7つの問題だ。

1.P≠NP予想
2.ホッジ予想
3.ポアンカレ予想
4.リーマン予想
5.ヤン-ミルズ方程式と質量ギャップ問題
6.ナビエ-ストークス方程式の解の存在と滑らかさ
7.バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想

4のリーマン予想は先日NHKスペシャルで特集をやっていたが、「ゼータ関数の自明でない零点はすべて実数が1/2の直線状に存在する」というものだ。これが証明されると一見ランダムな並びと思われる素数に、実は規則性があるということになるらしい。

6のナビエストークスは流体の運動方程式で、2階の非線形偏微分方程式だ。流体の運動を表す本式が解けないがために、流体力学の計算は厄介なものとなっている。流体を簡単なモデルとして近似化するか、最近ではスパコンを使って直接数値シミュレーション(DNS)で解こうという試みが行われている。もしナビエストークス方程式を解く事ができれば、流体の運動方程式は明なものとなり、流体力学は凄まじい進歩を遂げるに違いない。一方仕方のないことだが、それと同時にこれまで行われてきたモデル化やDNSは廃れていくだろう。流体が専門ではないが,工学系なのでこの問題が一番身近である。

今回取り上げられたの「ポアンカレ予想」だ。内容そのものが難しいのだが
「単連結な三次元多様体は、三次元球面に同相である」
という予想だ。単語が難しいが、
・単連結=その表面にロープをかけたときに必ず回収できる
・三次元多様体=四次元空間の表面
・三次元球面=丸い四次元空間の表面
・同相=同じ
と読み替えて欲しい。

そしてこの問題が解けると、もしロープ片端を出発点に固定し、他端を結んだロケットが宇宙を一周して戻ってきた時、ロープが回収できれば、宇宙は球形であるといえるのだ。

結局ミレニアム懸賞問題の中、このポアンカレ予想だけが唯一解かれた。勿論、突然解かれた訳でなく、それこそ100年の間をかけn次元に一般化され、nが5以上、N=4のときと少しずつ証明されていった。ポアンカレ予想であるn=3を証明したのはロシア人数学者グリゴリー・ペレルマンである。そしてこれがかなりの変人。髭面で、フィールズ賞受賞を断り、今ではロシアでキノコ取りに励んでいるらしい。100年の難問を解いたのはやはり只者じゃない。これ以外にも沢山の逸話があり、人生の全てを費やさなければ到達できない頂点であったことを強く感じさせる。

ポアンカレ予想証明は次の3つの論文からなる。論文はarxivで発表されており、誰でも無料で読むことが出来る。

The entropy formula for the Ricci flow and its geometric applications, 2002
Ricci flow with surgery on three-manifolds, 2003
Finite extinction time for the solutions to the Ricci flow on certain three-manifolds, 2003
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数学ガール/ゲーデルの不完全性定理

数学ガール/ゲーデルの不完全性定理数学ガール/ゲーデルの不完全性定理

ソフトバンククリエイティブ 2009-10-27
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0.9999...はちょうど1に等しいなんて、誰もが「え?」となるはずだ。

僕、テトラちゃんとミルカさんの3人の高校生と、妹ユーリによって「ゲーデルの不完全性定理」まで説明される。本書は「数学ガール」シリーズ3作目にあたるが、読んだのはこれが初めて。

ゲーデルの不完全性定理とあるが、いきなりここから入っていくのではなく、高校生以上なら誰でも理解できるように、自己言及のパラドックスとペアノの公理から入っていく。自己言及のパラドックスは次のようなもので頭もグルグル回ってしまう。

「私は嘘つきである」と私は言った。

扱う内容はさらに極限、イプシロン・デルタ論法、ヒルベルト計画に及び、最終的にゲーデルにたどり着く長旅だ。

読む前はタイトルとその評判から、物語重視で数学は脇役かなと想像していた。確かに読み物の形式をとっているが、軽んじてはいけない。内容は立派な数学である。ただ、普通の教科書なら数ページ読み進めるのに苦労するであろう箇所が、テトラちゃんが先に躓いて、ミルカさんが説明してくれるので、随分助けられる。

今まで分かってたつもりの極限や自然数が、改めて公理から再定義されていく。大学教養課程で数学を取った人なら、あーそういえばやったぞと思い出すだろう。高校の数学と大学の数学の大きな違いは、高校数学ではそれが簡単に図で描けるほど具体的であることだ。ベクトルは3次元までだし、微分は傾き、積分は面積と教わる。図で示されたら確かに理解できる。極限も、ある値に漸近するとグラフで理解できれば問題ない。

大学の数学になると、とたんに厳密であり抽象的になる。多くの学生は初めのイプシロン・デルタ論法とn次元に拡張された線形代数でやられてしまう。さらに工学系だと偏微分方程式はどっさり出てくるが、これら極限の話は何の役に立つのかいまいち分からない。ただ実学として不要かもしれないが、抽象的概念がつかめると面白いし、なんだか数学の階段を一つ上がった気持ちで、見え方が変わる。

大学数学に対する心の準備が出来ていないと、このギャップは想像以上だ。そう考えると本書は大学に入る直前に読むのが一番良いと思う。大学数学という抽象世界への準備とその面白さへの好奇心を同時に満たしてくれる。勿論大学を卒業してもなお好奇心旺盛な方にとっても、その欲求に余りある内容だ。

本書の説明はとても丁寧なので、高校までの数学の知識があれば、第9章までは読み進められると思う。ただ最後第10章のゲーデルはとたんに難しく理解できなかった。とにかく出てくる定義の数が多すぎる。ただ今回はゲーデル不完全性定理の香りが嗅げただけでも、何か偉大な作品に触れたようでとても気分がよい。次回どこかでゲーデルに出会ったら、さらに一歩理解を進めたい。


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プロフィール

ac360

Author:ac360
20代後半

アカデミ系読み物、投資、英語、文章読本、ビジネス系書籍に興味あり。自分の能力を高められるような読書を継続していきたいと考えています。

投資:
投資額は全資産の20%以内に抑え,インデックス積立中心にやっています。

TOPIX ETF(1306)
eMAXIS先進国株式
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その他もろもろ

英語:
TOEIC 920 (L465 R455)
CNNは半分も分かりません。960点位取りたいです。
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